建設業許可申請に伴う工事経歴書の書き方
工事経歴書は、様々な申請書類の中でも記載ルールが細かく決められており、非常に重要なものです。業者として正しく理解しておくことが必要ですので、この記事をきっかけにしっかりと学びましょう。ただし、申請書類の書き方は都道府県や自治体によって異なる可能性がありますので、申請の際には手引き等を確認するようにしてください。
工事経歴書の書き方
工事経歴書の作成は、直前の決算期に行った工事について、「工事名」「元請下請」「JVの有無」「金額(千円単位)」「主任技術者名」などを記載します。
許可を受けようとする業種ごとに、請け負った工事について記載することになるため、かなり神経を使うと言えます。
工事経歴書への記入対象となる工事
工事経歴書の記入対象となる工事は、次のとおりです。
1.申請する期の直前期
工事経歴書に記入する場合、新整備が属する事業年度のひとつ前の事業年度中に完成した工事
2.記載する工事は金額の大きい順に申請する
書類に記載する工事は、対象期間における金額の大きい工事から行います。ただし、経営事項審査を受けるかどうかで書き方の細かな部分が変わります。
定められたルールにしっかりと則って書くようにしましょう。
「経営事項審査」について
工事経歴書は、経営事項審査を受けるか否かで記入する内容が変わってきます。詳しいことについては、ぜひお問い合わせください。
基本的な記載事項
先ほども解説した通り、工事経歴書は「経営事項審査」を受けるか否かで記載ルールが変わります。ですが、基本的な内容はほぼ変わりません。
1.工事の種類
この書類は、許可を受けている業種ごとに作成します。つまり、5つの事業について許可を得ているならば、それぞれの業種で分けて書くようにしましょう。
2.税込・税抜
免税事業者は、基本的に税込で記入します。それ以外については「経営事項審査」を受けるかどうかで変わりますので、細かいことはお尋ねください。
3.注文者
工事を注文した人を記入します。法人の場合については法人名で問題ありませんが、個人の場合には名前をそのままださず、「個人A」のようにしましょう。
4.元請か下請けか
どちらかを書きましょう。
5.JV(共同企業体)
複数の企業が合同で工事を行った場合には、記載が必要となります。
6.工事名
工事の名前を記入します。注文者の欄と同様に、個人の依頼の場合には名前をそのままださず、イニシャルを使うようにしましょう。また、完成工事と未完成工事両方を記入する必要があることも覚えておきましょう。
7.現場のある都道府県及び市町村名
工事現場のある地方自治体名を記入して下さい。
8.配置技術者
主任技術者もしくは監督技術者の情報を記入します。
9.請負代金の額
請負金額については、千円単位での記入です。1000万円であれば10000と書きましょう。また、工事進行基準(工事進行割合に応じて収益費用が発生)を採用している場合は、金額はカッコ書きで記入します。なお、「PC工事」「法面処理工事」「鋼橋上部工事」がある場合には別途記入が必要です。
10.工期
どれだけ工期がかかったかを記入します。
11.小計
ページごとの請負代金合計を記入します。
12.合計
全てのページの請負金額を記入します。なお、元請での請負金額は別途記入する必要があるため、注意しましょう。
工事進行基準とは?
工事進行基準とは、建設業における会計方式の一つです。会計年度ごとに工事の進捗度合いに応じて費用や収益を計上する方法で、契約時の請負代金と最終的な売上(完成工事高)が変わる可能性があるため、カッコ書きで記入する必要があるのです。
工事実績がない場合は?
「工事経歴書」は、工事の実績がない場合でも作成及び提出をすることが求められます。実際のところ、工事実績がないままに書類を提出することは珍しくないため、工事欄に「工事実績なし」としっかり書いて提出しましょう。
「経営事項審査」とは?
経営事項審査とは、元請として公共工事を請け負いたいと考えている建設業者が受けなければならない審査のことで、全ての業者がこの審査を受けているわけではありません。
違反となる注意点
工事経歴書の項目で注意すべきポイントは、「配置技術者の配置方法」です。建設業法において、配置技術者が兼任することができないケースやルールに従えていない場合には行政から注意を受けることになります。日頃から正しく配置技術者に関するルールを理解して、配置ミスがないようにしなければなりません。