貸借対照表の書き方を解説!
毎年、作成して提出しなければならない「貸借対照表」は、建設業法で定める様式の財務諸表(貸借対照表及び損益計算書)を作らなければなりません。
今回は、「貸借対照表」の作り方やそれぞれの項目について解説します。
貸借対照表とは
貸借対照表は、決算日における財政状態(資産、負債、純資産)を知ることができるものです。ただし、資産や負債の中には様々な項目があり、それぞれを把握して理解することで、企業の財政状態を判断することができるようになります。
貸借対照表の項目
貸借対照表は、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」にわけて記入します。
資産とは
「現金そのもの」もしくは「売ればお金になるもの」です。商品や建物、土地、将来的に入ってくるものなども資産になります。ですが、これらの資産を手に入れるためには、元手がかかります。この「元手」となる資金をどのように調達したかをを表しているのが、「負債」と「純資産」なのです。
資産となる項目
資産には、「流動資産」「固定資産」という分類があります。流動資産は、現金や受取手形、完成工事未収入金、材料貯蔵品などがあります。これらの合計額を「流動資産合計」の項目に書くことになります。固定資産は、建物・構築物、機械・運搬具、工具器具・備品、土地などが入ります。
【流動資産】
・現金預金:事業用預金口座の期末(12月末)の残高を確認して記入します。
・受取手形:手形で工事代金を受けいれている場合には、期末時点での期日未到達分の残高を記入します。
・完成工事未収入金:期末までの工事は完成しているが、入金されていない工事代金の合計額です。
・材料貯蔵品:工事に使う資材等をまとめ買いしている場合、期末に在庫が残っていればその分の金額を記入します。
【固定資産】
・建築/構築物:事業用に使っている建築・構築物があり、減価償却費の計算をしている場合には、当該年度の期末時点の未償却残高です。
・機械/運搬具:事業に使用している建設機械や車両があり、減価償却の計算をしている場合は、当該年度の期末時点の未償却残高を記入します。
・工具器具/備品:工具器具や備品で耐用年数が一音二乗かつ取得価格が相当額のものがあり、減価償却の計算をしている場合は、当該年度の期末時点の未償却残高です。
最終的に、「流動資産」と「固定資産」の合計額を「資産合計」として計上します。
負債とは
負債は、借入金や社債といった他人から調達した資金であり、「必ず返さなければならない他人からの借入金」です。
負債となる項目
負債は、資産と同様に「流動」と「固定」があります。流動負債には、支払手形や工事未払金、短期借入金などがあり、合計したものを「流動負債合計」に記入します。また、固定負債には、長期借入金の残高を記入し、「流動」と「固定」を合わせて「負債合計」に計上します。
【流動負債】
・支払手形:材料や工賃を手形で降り出して支払っている場合、期末時点で決算期日がきていないものの残高を書きます。
・工事未払金:工事は完成しているが、支払いができていない材料費や外注費などについて、期末時点の残高です。
・短期借入金:返済期間1年未満の借入金の残高を書きます。
【固定負債】
・長期借入金:返済期間が一年超の借入金の残高を記入します。
純資産とは
純資産は、原則として返す必要のない、株主からの出資や事業を通じて得た利益の蓄積等です。資本金や剰余金など、自己調達した資金も含まれます。
純資産の項目
純資産の項目では、期首資本金、事業主借勘定、事業主貸勘定、事業主利益が主なものとなります。ただし、期首資本金については、前期末の純資産合計の金額となりますが、空白にでのしておくこともあります。詳しい書き方などについては、お気軽に行政書士までご相談ください。
貸借対照表で覚えておくべきこと
貸借対照表の左側はお金の使い道(運用など)を、右側は出どころ(調達など)を表しており、「左側(資産)の合計額と右側(負債と純資産)の合計額は必ず一致する」のが基本です。つまり、数字が合わない場合にはどちらかにミスがあるため、確認し直す必要があります。
建設業法規定の様式について
建設業許可を受けるために、財務諸表は建設業法に定められたもので作成する必要があります。つまり、税務申告用にすでに作ったものがあったとしても、建設業法様式に転記しなければならないのです。
様式については、インターネット上でのダウンロードなどが可能です。